福島県庁の「原子力職員研修」にて講演しました
2024年10月17日に鳥養祐二教授が福島県庁の放射線・原子力発電所廃炉基礎研修のカリキュラムの講師として講演しました。
原子力職員研修は福島県職員の原子力・放射線等に関する知識向上を図り、原子力発電所の廃炉に向けた取り組みのさらなる監視体制の強化を目的に、平成27年度から実施されています。
はじめにALPS処理水放出から現在に至るまでに福島漁場での魚介類にトリチウムが検出されていないこと報告しました。
放射線とその人体への影響やトリチウムについての基礎知識やALPS処理水が人体に影響を起こしうるのかについて法令に定められている放射線を放出する物質院関する濃度限度の観点から説明しました。
現地では十数名の福島県庁職員が講習を受け、オンラインでも多方面の関係者が60名ほど参加されました。
当日の質疑応答より(抜粋)
〇トリチウムについてとても理解できた。ALPS処理水の他の核種についてはきちんと取り除いているのかが不安であり、この理解は安心につながる。
➡取り除きやすい除きにくい核種はあるが、時間をかけて取り除いている。放出の際には「濃度限度比(濃度限度に対する各放射性物質の比)の合計が1未満になっている」ことを確認している。これを実際は海水で希釈しているため最先端の精密検査をしたとしても検出困難レベルまで低い値になっている。
〇トリチウム迅速測定法の課題や問題点などは現時点であるのか?モニタリングなどでも使っていけるのか?
➡開発時に測定していたヒラメでは全く問題なかったが、様々な魚種を分析していることで測定しにくい検体がいることが分かってきた。メヒカリやイカなどの発光に関する成分が化学発光して値を大きくすることがある。数時間で収まることとトリチウムとは検出機のエネルギーピークが異なるため測定はできているが想定よりも時間がかかる。それでも従来の1ヶ月以上かかる測定に比べれば迅速かつ簡易的にこれから先も使える技術だと考えている。